2010年7月26日

小林章欧文タイプセミナー

先日、小林章欧文タイプセミナー「欧文フォント選び・基本はあるけどルールはないんだ」に行ってきました。初心者用のワークショップだったのですが、私たちが聞いてもなかなかおもしろい内容だったので、シェアしたいと思います。

まず、もちろん知っている方もいると思いますが、まず小林章(こばやしあきら)さんの紹介から。
(歌手の人じゃないですよ=3)



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小林 章
欧文書体で120年の歴史を持つライノタイプ社のタイプディレクターとして 2001年よりドイツに在住。主な職務は、書体デザインの制作指揮と品質検査、新書体の企画立案など。有名な書体デザイナーであるヘルマン・ツァップ氏やアドリアン・フルティガー氏と共同で書体制作も行っている。欧米や日本での講演多数、コンテストの審査員もつとめる。
著作:『欧文書体:その背景と使い方』『欧文書体2:定番書体と演出法』(いずれも美術出版社)

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話の内容としては、まず小林さんがどんな環境で毎日お仕事をしているのか等をお話しして頂きました。彼が働いているドイツのライノタイプ社はフランクフルトから車で15分くらいの場所にあるそうです。彼のブースの写真を見せて頂いたのですが、毎日、終日の間立って仕事をしているそうです。座ってしまうと、必ずぼーっとしてしますそうで、立ってた方が仕事の効率が良いそうです。後は、ドイツのおもしろい書体を使った看板、サインなどの例を写真を使って色々と紹介して頂きました。その後のどうやって書体を選べばいいのかなどのお話は下記にまとめました。

1. MAC OS Xにバンドルされているフォントには高品質なものが結構ある。


2. フォントは見た目の雰囲気で選んで良い。
例えば、「Bodoniは、イタリア で作られたフォントなので、フランス料理屋では使ってはいけない。」などのうわさは本当ではないみたいです。

3. 「フォントには民族性や宗教性が…」はウソ。
例として、ナチス系のドイツのフォントなどのお話をして頂きましたが、これはナチスを連想させるフォントなので使用しない方が良いなど様々な理由でフォントの使用を規制する風潮が日本にはあるそうなのですが、小林さん自身そんなうわさは知らなかったらしくそんなことはないとビックリしてらっしゃいました。友人の書体デザイナー、マシュー・カーターさんやヘルマン・ツアップさんなども同意見らしいです。ただ、フォントによってそれ自体がもつ雰囲気はあるそうなので、コンテクストによってフォントを選ぶことも必要なのは確かですね。

4. 必要な場所ではちゃんとイタリックを使おう。
欧米のデザイン系学校では、欧文を組む時のルールなどみっちり教えてもらいますが日本ではそこまで欧文を使用することがないので欧文組版のルールを知らないでデザインしてしまうことがあります。例えば、イタリックの使用方法です。どの場合にイタリックを使用したら良いのか?その反対にイタリックを使用しなければならない場所に使用していないと、とても欧文として読みにくいものになってしまいます。これは、西洋文化にも密接に関わってくることなので、英語圏の人々は自然にイタリックの使用方法を知っています。これらのルールがまとまっているサイトを小林さんから、紹介して頂きましたので、ここに記載しておきます。↓

http://www.typographyforlawyers.com

ちなみに、(知っている人はごめんなさい)イタリックとオブリークの違いついてお話しします。
オブリークは、ローマン体をただ傾けただけのフォントですが、イタリックはオブリークにした時の書体の歪みを調整したフォントになります。
この事を考えると、あまりオブリークは正式なものに使用しない方が良さそうですね。。。

5. 長い文章では読み手の立場にたってフォントを選ぼう。

これは、私たちにとっては当たり前の事なので、あまり言及しませんね。ちなみに、小林さん曰く、Big CaslonやDidotは見出し用のフォントとして作られたそうです。確かに。。。

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小林さんは、普段はドイツに住んでいらっしゃるのでなかなか日本には来られないのですけど、11月にまた来日されるそうなのでもしかしたらまた、このようなセミナーを開いてくれるかもしれません。個人的感想なのですが、小林さんはすごく優しくておもしろい人でした。なんだか、心がポカポカしてくるような素敵な人でした。「欧文組版 組版の基礎とマナー 」の著者である高岡さんや祖父江さんもセミナーを聞きにいらしてました。なんだか、みなさんで熱心に台湾にある活版印刷所の書体見本帳の「お」のカタチについて話してましたよ。(笑)

ユニバーサルデザインビジネスシンポジウム 2010

6月18日に「ユニバーサルデザインビジネスシンポジウム 2010」に行ってきました!プログラムの内容と、特に良かったエミリー・ピロトン氏の基調講演を簡単にまとめたましたので、良かったら読んでください。




プログラム 13:00~17:30

13:00~13:10
開会のご挨拶
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13:10~14:00
基調講演
「Empowering design:6 Tactics for human-centered Social Innovation」
「Project H Design」創設者、「Design Revolution」著者
エミリー・ピロトン氏



<プロフィール>
基調講演を担当するエミリー・ピロトン氏は、著書「Design Revolution: 100 Products That Empower People(世界を変える100のプロダクトデザイン)」で知られるプロダクトデザイナーですが、デザインを通じた社会運動家でもあります。 米国内だけでなくアジアやアフリカなど世界中のさまざまな地域で本当に必要とされるモノ作りやデザイン開発を行っています。貧しく、工業製品の恩恵をこれまで受かられなかった人々のために、その地域に合ったデザインを開発し、製品化しています。たとえば、ウガンダでは、廃タイヤを使って算数の教材を開発しました。こうした姿勢は、ユニバーサルデザインの新しい方向を示します。また、デザインがこれまでターゲットにできなかった市場にもアプローチできるため、ビジネスのフロンティアを開く力強さも示します。

エミリーは、プロダクトを専攻していた学生の時に世の中でたくさんの商品が消費されている中で多くの必要のない商品も存在していることにフラストレーションを感じ、なんとかそれを解決できないかと感じていました。そして、2年前にプロダクトデザイン会社「projectHdesign」をSan Franciscoに設立しました。彼女が考えるデザインとは、プロセス(Process)であり人(People)であります。そして、ここからはデザインに必要な6つの要素を実例を上げながら紹介していきます。


#1 design through action



メキシコにある病院で小さい子供が移植手術する特別な部屋はわずか10日間でそこをどかなければなりません。
付き添いの家族もゆっくり滞在できる設備の整った病室ではありません。そこで、perojectHdesignは、簡易的ではありますが、横になれるような長椅子と引き出しが一緒にになった「Unit T」という家具をデザインしました。その後も、この病院とは良い関係を続けているそうです。


#2 design systems, not stuff



デザイナーは、「モノ」をデザインするのではなく、持続可能な総合的なシステムの構築をデザインしなければなりません。
「LEARNING LANDSCAPE」というプロジェクトは、4X4、もしくは5X5のタイヤをグラウンドにグリッドにして配置した算数の問題を子供達が楽しく学べる学習ツールです。タイヤは、ただで頂いてきたものを使用しましています。配列したタイヤのフィールドの外側の両側に生徒達が並び、算数の問題を先生が言うと、その答えの数字が書いてあるタイヤを子供達が見つけて素早く座るという仕組みです。先生方にとっても教えることが簡単になり、子供達も算数をゲーム感覚で楽しく勉強することができます。商品自体は簡単なものでも、それに関わるシステムは考えなければなりません。


#3 design with, not for



デザインは、誰かの為にするのではなく、一緒に作り上げて行くものです。
「Abject Object」は、女性のホームレスの人に社会で生きて行く為のスキルをを教える場所を提供するプロジェクトです。例えば、裁縫であったり、物の作り方であったり、ビジネス戦略であったりします。そして、彼女らが社会的にも経済的にも独立できるように手助けします。


#4 starts locally and scale globally



ニューヨークの学校の生徒にアンケートを取ったところ、以下のような問題を生徒たちは抱えていることを発見しました。

サイエンスの授業が嫌い
カフェテリアの食事がまずい
肥満の生徒が多い

そこで、「Empowerment through Food」のプロジェクトは始まりました。生徒たちに必要なものは、ガーデン、美味しい野菜、そして
植物/野菜を育てることです。学校で野菜やフルーツ、そしてハーブなどを育てることを1年間のアカデミックカリキュラムとして取り入れました。このカリキュラムは成功し、サンフランシスコやロスアンジェルなどでも同じプログラムを実行することになりました。


#5 document, share, and measure



デザインするにあたって、プロセスはとても重要です。私たちは何かをデザインする際にはDocumentation/記録をきちんとすることにしています。その為、毎回何千枚と記録の為の写真を撮っています。「Design Revolution」は、私(Emily Pilloton)が90日間という短期間で制作した本です。

この本は、社会的に優れたデザインやシステムをベースにした現代プロダクトデザインを100以上紹介しています。例えば、赤ちゃんに安全な哺乳瓶、ワイヤレスの食器洗い機、安い地雷被害者の為の義足、目が不自由な子供のためのレゴなどを紹介しています。そして、2010年春、40程のこれらのプロダクトを抱えて36の町の高校や大学をまわり、各場所で即席の展示会をトラックの中で開き、講演やワークショップも開きました。これから世の中に巣立ってゆく若いデザイナーたちを勇気づけると共に、今世の中が抱えている社会的問題などを意識してもらい、世界的に人々の生活を改善していって欲しいという願いを込めています。私は、デザインで世界を変えることはできると強く思っています。


#6 build



ノース キャロライナ州にあるBertieという場所は、国内の中でも最も貧しく、遠く離れた場所でした。私達は、この場所の学校環境、素材、そしてシステム等をデザインを通して改善することになりました。まず、私たちは使用さていなかった2つの教室をイノベイティブな
コンピューターラボにすることを試みました。従来のコンピューターラボは生徒はみな壁に向かって机を並べていて全くコミュニケーションがとりにくいレイアウトでした。そこで私たちはスチールの枠と木のパネルで作ったタワーを中心にその周りを8人の生徒が囲むようにして座れるというレイアウトを考えました。このラボはとても良く機能しており、色々な教科の先生方が様々は授業をここで行っています。


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14:00~14:30
ゲスト講演
「Meaning and Impact:Design that matters」
frog design Shanghai ストラテジーディレクター
ラビ・チャタパー氏

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14:40~15:10
事例発表1
「デュアル・モード・ビークル(DMV)の本格的実用化に向けて」
JR北海道 技術創造部DMV推進センター所長
難波寿雄氏
デュアル・モード・ビークル
利用者の減少で維持が困難になった地方鉄道に工夫を加え、既存の鉄道、路線バスなどを融合して地域公共交通を守ります。

15:10~15:40
事例発表2
「トヨタ自動車福祉車両の現状と開発の進め方」
トヨタ自動車 トヨタ商用車センター チーフエンジニア
岩田秀行氏
ウェルキャブ(トヨタの福祉車両群)
車いすの運転者が乗ってきた車いすを、ルーフ上へスムーズに収納できます。

15:40~16:10
事例発表3
「人にやさしいテルモデザイン」
テルモ 執行役員 マーケティング室長
木田健一氏
インスリン用注射針「ナノパスニードル」他
1日に数回の注射を必要とする方のために開発された、痛みを軽減する、極細の注射針です。

16:10~16:40
事例発表4
「体験から生み出されたデザイン」
五十嵐工業取締役専務
五十嵐敏彦
雨水タンク「ホームタンカー100L」
貯水している雨水を、普段は水撒きに、非常時にはトイレ用などの水として利用できます。

16:40~16:50
休憩
16:50~17:30
トークセッション
東京大学特任教授 中川聰氏 ほか
本日の登壇者

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